無料で提供される作品の可能性について

作品を作るのは容易なことではない。それが一次創作であれば尚更だし、たとえ二次創作であったとしても大変なことには変わりない。そんな苦労して生み出した作品を多くの人に認知してもらいたいと考えるのは当然である一方で、多少の収入が入って欲しいと思うのは、まあ制作側から見れば当然だろう。こうして多くの作品は有料になっていくと考えている。


プログラムの世界でもさぞ同様かと思いきや、驚くべき事に奇妙な現象が起こっている。優れたツールであったとしてもバンバン無料で配布され、ソースコードまですべて公開されている場合すらある。たとば、その典型例としてRubyJavaなどのプログラミング言語がある。あれのコンパイラとか無料で公開されてるんですぜ。


で、そんなんでどうやって儲けるの?と疑問に思うかもしれないが、無から有は生まれないわけだから、ソフトウェアそのもので利益が出ない以上、その周辺で儲けるしかないわけだ。現に例に挙げた2つはセミナーや講演などで収益を得ている。他にもまあ、それ以上のことをかたるとボロがでるのでここらへんでやめておくが、押さえておきたいのは、プログラム言語を制作している会社が自社のプログラム言語に詳しくないはずがないという絶対的なアドバンテージがあること。それがセミナーで儲けることが出来る一つの要因だと思う。


さてここで、一つのある作品を考えてみよう。この作品はとても面白いが無料で提供される。何を持って面白いとするかは人によりけりだろうが、継続的なファンが出来る程度には面白いものとする。この作品でどうやったら儲けることができるか、ソフトウェアでの利益の出し方を参考に考えていく。なお、適合しない利益の出し方は次回に回す。ご了承いただきたい。


作品の絶対的なアドバンテージは何だろう?作品のストーリーは既に世に出ているので絶対的なアドバンテージにはならない。となると直接世に出ていないモノがアドバンテージになる可能性がありそうだ。キャラクターや世界観、細かく言うと、キャラクターの物事の判断基準とか、人間関係やら、姿見やら、その世界ではあたりまえになっている事象やら、道具やら。すなわち設定と呼ばれるモノなら売れそうだ。


そういえば、ストーリーは設定の切り売りをしているという話もあった。作品が無料である場合は設定の体験版としてストーリーを提供していると見ることも出来る。これはソフトウェアと真反対のアプローチだ。Javaと比較すれば、Javaは仕組みを無料で公開し、使い方を講演とか記事を介してお金を徴収するのに対し、ストーリーを生み出す仕組みとしての設定を売り、設定の利用方法としてのストーリーを無料で提供するのだから、ホントに反対です。


でも設定を買って何するのと考えたとき、これってTRPGじゃね?って気づいた。知らない人のために説明しておくとTRPGとはあるルールにそってキャラクターを演じる電源なしゲームのことだ。そのルールがすなわち設定だ。


TRPGのルールブックを有料で売って、その販促としてストーリーを無料で提供する。TRPGも体験を売っているようなものだし、これも近頃のコンテンツを無料で配信して、体験で元を取る系の話だったんですね。



二次創作も同様ですね。著作物利用する条件として設定集を買っていれば、認可と取っていることと同義になるとかしておけば、コピーせずに、喜んで買うんじゃないかな。


まとめると、無料で作品を提供したいのであれば、TRPGや二次創作などの体験を刺激する、キャラクターや世界観などの設定を売るのが良いのではないか、ということ。結局これも体験を売る系の話に収束しましたねw