自分の丈にあったコミュニティを自分で作ろう

Web2.0に則った集合知よりも、これからは個別集合知の時代か? - ブログ執筆中にて書いたとおり、注目エントリを読むのを最近やめました。それは、注目エントリを毎日目を通していると疲れてしまうからだったんですが、理由があまり解ってなかったんです。昨日、だいぶ古い記事ですが、論拠となるエントリを見つけたので、紹介しつつ考察を続けます。

" アンテナとかRSSリーダーで把握できている範囲、そのなかの「一日にだいたい目を通している範囲」のことですね。実際にはそのほかの要素(ニュースサイトやリンク、検索など)でプラスアルファがあると思いますが、ともかく「目が届く範囲」というのはひとそれぞれにだいたい決まった範囲がある "
(中略)
このようにブログが膨張していくと、それぞれのユーザーのもっている可視領域が重なる部分がどんどん減っていきます。「30spd」のひとが10ほど新しく巡回先サイトを追加する場合、当然それらのサイトがほかのユーザーと重なる割合は減ってしまう、「30」に含まれる「話題を共有するサイト」が減ってしまうわけです。つまり同じコミュニティのなかにいても、共通する話題が見えにくくなっていきます。
さらに、あとから入ってきたひとほどコミュニティの空気を感じにくいわけで、新規参入者が増えるほど話題の密度は低下していきます。これをとりあえず「コミュニティ内の人口が増えると空気が薄くなる」の法則とでも呼んでおきましょう。

「ブログの寿命が尽きそうだ……」と思ったら - シナトラ千代子


「コミュニティ内の人口が増えると空気が薄くなる」の法則は本当に多くのところで目にします。例えばmixi疲れも、mixiを利用する人が増え、マイミクが増えたあたりから叫ばれだした現象です。

はてなブックマークが成功した理由のひとつに、「そのトップページを見ればとりあえずネットのトレンドがわかる」というものがあると思いますが、これもそのあたりの事情(「結局今はなにが流行ってんの?」)と結びついているのではないでしょうか。

皮肉なことに、そのはてなブックマークを牽引したブックマーカーのコミュニティは「コミュニティ内の人口が増えると空気が薄くなる」の法則通り、かつてのような空気は共有していませんし、またこれから空気はさらに薄くなっていくことでしょう。

「ブログの寿命が尽きそうだ……」と思ったら - シナトラ千代子

コミュニティが広がっていけば行くほど空気は薄まっていき、コミュニティ独特の雰囲気というものは感じられなくなっていく。
それに対処する方法として、コミュニティの中にまたコミュニティを作っていくという方法が提案されている。が、これも有効な解決法ではなかったわけです。

" コミュニティ内コミュニティが増えると可視領域に占める「話題を共有するサイト」の割合がさらに減るわけで、全体から見れば空気の希薄化を加速しかねません。さらにはコミュニティ内コミュニティの流行はその人口の増加をもたらし、結局はここにも「コミュニティ内の人口が増えると空気が薄くなる」の法則が適用されてしまう運命にあります。 "

" 流行りの話題を追いかけるのは、一種の病のようなものです。しかしそれはコミュニティを形成する上では不可避の中毒症状ですから、「流行りを追いかけない」よりも根本的な解決方法としては「コミュニティから抜ける」という手段しかありません。 "

「ブログの寿命が尽きそうだ……」と思ったら - シナトラ千代子

結局、コミュニティ内に人が集中すれば、そのコミュニティの雰囲気はぶち壊される。かといって、流行を追わなければ、コミュニティ内に人が集中することはないが、それ以前にコミュニティの瓦解を招く。


これを逆説的に考えれば、コミュニティの雰囲気を保つためには、流行を追いつつも、コミュニティに人が増えないことが条件だとこのエントリでは述べています。そんなコミュニティが存在すれば良いというわけです。


実はその条件を満たすコミュニティは2種類存在します。

一つは仲間内のコミュニティ。外からの来訪者を拒絶し、身内のみで会話する。新しい話題が見つかったら、それを肴にネタにする。


もう一つは、自分しか見ることが出来ないの自分だけのコミュニティ。その最たるものこそTwitterです。Twitterでは自分の見る範囲を自分の意思で制御できます。他人がいくらfollowしても、自分がfollowしなければ見る範囲が広まることがない。
見ることが出来る範囲を自分で制御できるなら、コミュニティの規模が大きく変化することはなく、コミュニティの雰囲気は保たれるということになります。たとえ変化しtあとしても、個別に見える範囲が設定されているので、変化してしまった部分だけ切ればいい。このようにすることで自分が納得する自分だけのコミュニティというのが形成されることになります。


余談だが、今までの考察を踏まえるとhttp://d.hatena.ne.jp/maname/20071210というのは設問が間違っていることになる。自分の納得する雰囲気を作ることが出来るコミュニケーションサービスがTwitterなのだから、雰囲気はこうだ!と書けるわけがない。この設問の答えには目を通してないが、おそらくこの設問に答えている多くの人は「Twitterの雰囲気はこういう傾向になりやすい」、または「私が形成したTwitterの雰囲気はこうだ!」という回答しか寄せてないと思われる。



さて、これをはてブにも適用してみましょう。注目エントリを追うと「コミュニティ内の人口が増えると空気が薄くなる」の法則が適用されてしまいますので、お気に入りやニュースサイト巡回するのがよろしい。自分の見る範囲を自分で設定すれば、この法則が適用されることは無いのです。Twitterと一緒ですね。


Twitterでも、はてブのお気に入りでも押さえておかなければならない2つのポイントがあります。

  • 自分で見える範囲を設定すること
  • 最良の雰囲気を見つけるためには見える範囲を狭めることも必要なこと

これさえ抑えておけば、自分にとって最良の雰囲気を持つコミュニティを形成できます。楽しいネットライフができると良いですね。