ネットイナゴの正体

ニコニコ動画が言い続けた「アンチ集合知」とは何だったのか - Attribute=51 を読んでいたらネットイナゴの正体に気づいてしまった。結論から言うと、小さなコミュニティによって増幅された感情が外に開かれてしまった現象のこと。

だから感情の集合知とは、

「ユーザーが、あたかも他者から受け入れられているように感じられるための集積体」だと思うのです。

ニコニコ動画が言い続けた「アンチ集合知」とは何だったのか - Attribute=51

感情のベクトルが違うほうを向くことはあると思うんだ。それは悪意の感情。

●消費者の場合

* そもそも、ユーザーは好きなジャンルの動画しか見ない(から、好きな人が集まりやすい)
* 2ちゃんねると違い、動画内コメントに「話題の流れ」がないため、荒らしどころが難しい。加えて、
o コメントでやれることの限界があって荒らしづらい
o 荒らしからすれば動画を最後まで見て荒らすのも面倒なので、せいぜい最初の数秒しか荒らせない

     (だから、目立たない。掲示板だと最終レスを全員が見るため「荒らされた」という印象が強い)

o コメントが多すぎて荒らしが目立たない。しかも流れていく
(中略)
o 同じものを同じように好きな人がいると、感じることができる(共感)
o 自分の気持ちが肯定される(強化)

という流れが生まれます。

自分が見ている動画、ひいては見ている自分を否定する人がいない。

誰だって、自分が好きな物を好きだと言われれば嬉しいし、

同じ物を好きだという人が、あたかもそばにいるように感じられれば嬉しい。

ニコニコ動画が言い続けた「アンチ集合知」とは何だったのか - Attribute=51

しかしこれを、例えばテラ豚丼の動画に照らし合わせると、以下のようになる。まあ、あれは極端な例だけど、炎上するタイプの動画にはこの傾向がある。

  • ブログに取り上げられ、荒らしたい人が集まってしまう
  • 2ちゃんねると違い、動画内コメントに「話題の流れ」がないため、いったん荒れてしまうと、元に戻りにくい
    • コメントでやれることの限界があって流れをひっくり返しづらい
    • 同じものを同じように嫌いな人がいると、感じることができる(共感)
    • 自分の悪意が肯定される(強化)

自分が見ている動画は否定しても、見ている自分を否定する人がいない。

誰だって、自分が嫌いな物を嫌いだと言われれば親近感が増すし、

同じ物を嫌いだという人が、あたかもそばにいるように感じられれば嬉しい。

それが荒れやすかったのが、はてブなのではないだろうか。


はてブは感想を書くサービスだが、えてして自分の意見を書くことが多い。そのため、批判的な流れができやすい。上にあげたとおり感情の集合知的なものは一度流れができてしまうと、その流れを覆すのは難しくなってくる


そしてニコニコとはてブが決定的に違うことがある。それはニコニコが内輪なのに対し、はてブは外に開かれていること。
検索に引っかかるなど、他のサービスで取り上げることが容易であること。そして、煽ることが容易であること。これはつまり、一度はてブで出来た流れは、はてブの外へ開かれて大きな潮流となり、大手メディアが報道せざる終えないような世論となっていく。ただし、良く分からないうちにその流れに乗ってしまう多くの人々を巻き込んで。


一度荒れる流れができてしまえば、際限なく荒れ続ける。しかも、その流れの最初は荒れやすい環境下にある。荒れる流れができ、それが(それも幼稚な)世論になってしまう。


その正体こそがネットイナゴネット右翼)なのではないだろうか。この考察が正しければ、ネットイナゴは感情の備わった集合知によってもたらされた現象で感情の備わった集合知を備えたシステムはこれを上手く制御しないと社会に負の利益をもたらしてしまったり、システムそのものが潰れてしまったりするのではないだろうか。