ピングバックの導入はトラックバックを救う
誰も考えてくれなかったので、自分で考える。
実はトラックバックと同様の仕組みとしてピングバックというものが存在します。このピングバックはアメリカ圏などでは使われているようです。
トラックバック文化圏論争に身を投じる人々へ―お前らピングバックって知ってる? - ブログ執筆中
(中略)
もしかしたら、ピングバックはトラックバック文化圏論争を一気に収束させてしまうかもしれません。だって文化圏が違うならば、使うシステムを変えてしまえば衝突は起こらなくなるでしょうが。
ピングバックとは、リンクを張れば、自分がしたいしたくないに関わらず、リンクを張ったことを相手に知らせる仕組みです。そのため、使っている側としては、逆リンクとしての役割を果たすでしょう。だから、とにかく大手のサイトからリンクを得たいのであれば、ピングバックがあらゆるページで実装されている状況であれば、大手サイトにリンクを貼りまくることで得ることが可能になる。もちろん、それはスパムだ。だから、
kana-kana_ceo :pingback / スパムが楽ちん!
はてなブックマーク - kana-kana_ceoのブックマーク / 2008年2月21日
となるわけだ。だから、導入する意味は薄いと多くの人は考えるだろう。
しかし、これは実は利点なのである。この話は一度脇に置いておいて、ピングバックが実装されることで、どんな状況が起こるのか考えていきたい。
まず、ピングバックはトラックバックと同様の仕組みであるから、その住み分けを考えなければならない。お互いの性質から、関連性が低いページへのリンクをしたい場合にはピングバック、関連性が高いページへのリンクをしたい場合はトラックバックを選択するということに落ち着くのではないか。
すると、逆リンクがより関連性の強いものに対してはトラックバックが、それ以下のリンクに対してもピングバックで保証されているという状況が生まれる。読み手視点で読みかえれば、『ここを読んでおくと有益な情報が手に入るよ』というページと、『嘘言ってるかもしれないけど、行ったところでたいした情報は得られないかも知れないけど関連があるよ』というページとの分類がなされることになる。
すると、トラックバックをめぐる4つの文化圏の文化衝突――「言及なしトラックバック」はなぜ問題になるのか[絵文録ことのは]2006/01/06で書かれているような4つの文化圏では、トラックバックとピングバック住み分けが以下のように生まれるのではないだろうか。
文化圏の組み合わせ | 利用される方法 |
言及リンク ←→ 言及リンク | トラックバック&ピングバック |
関連仲間, ごあいさつ,spam ←→ 関連仲間,ごあいさつ,spam | ピングバック |
関連仲間, ごあいさつ,spam ←→ 言及リンク | ピングバック |
すなわち、言及リンク文化圏の間でのみトラックバックが推奨される。このことで、トラックバックが正しい意味を持つことになります。
トラックバックの目的をおさらいしておこう。
1. 言及通知(言及リンクをした相手に、そのことを伝える)
トラックバックをめぐる4つの文化圏の文化衝突――「言及なしトラックバック」はなぜ問題になるのか[絵文録ことのは]2006/01/06
2. トラックバックセンター(同じ話題の記事を集めているところにリンクを集約)
そして、2が誤って広がってしまったことで、今の混乱が起きている。
これは、私のところでもわかりやすく説明しようとしたのが今から振り返ると失敗だったと思うのだが、これはいわゆる「トラックバックセンター」すなわちトラックバックを集めて関連記事リンク集を自動で作ることが目的のサイトのことを想定している。つまり、一般のブログの普通の記事に対して「関連があるからトラックバックを送りますよ」ということを想定してはいなかったということだ。
だが、このトラックバックセンターへトラックバックを集約するという使い方が、一般ブログでもまったく同じように適用できるのだという誤解が広まってしまった。
トラックバックをめぐる4つの文化圏の文化衝突――「言及なしトラックバック」はなぜ問題になるのか[絵文録ことのは]2006/01/06
この状況に対し、2の誤った目的で使われているトラックバックの役割をピングバックが代わりに担うことで、トラックバックの両方の目的に対して正しく動作するようになることが期待されるのだ。
最初の話に戻ろう。ピングバックが導入されることにより、スパムが楽チンになるだろうという指摘は確かにその通りだ。しかし、ピングバックがスパムを受ける役割をあえて担うことで、トラックバックのゴミが整理されるのであれば本望でないか。ピングバックはインターネットのリンクを正しく機能させるための影武者というわけである。2chがインターネットのアンダーグラウンド(ってほどでもないけれど)的な役割を負うことで、インターネットというシステムがそれなりに上手く回っているのと同じだ。不整合な部分は必ずある。そこを誰かが担ってくれることで、整合がとれるシステムを作ることができるのだ。
また、トラックバックについての話で、たまに言及でないトラックバックを消すという方法がとられることがある。これがトラックバック文化圏論争の多くの騒動の元であるが、これにはブロガーの横柄な態度が見え隠れする。別にその意図がなかったとしても、トラックバックを消すということは、リンクを張ってきたという行為を無かったことにすることでもあるからだ。しかし、ピングバックが導入されることで、トラックバックを消すことで逆リンクがなくなってしまうことはない。トラックバックを消すことに対する騒動は、ピングバックが導入されることで鳴りをひそめるはずだ。
ピングバックが導入されることで、トラックバックが正しい働きをすることが期待されます。ピングバック導入してくれないかな。
そういえば、はてなのコミュニティ内では、はてなブックマークの「このエントリを含む日記」としてピングバックに相当する仕組みがありますね。ブログからは直接見えないので、利用頻度として低いが。